自分自身を知ること
フランス料理店の店主から伝えられたこと
しばらくタイ旅行の記事が続いていたが、閑話休題。旅行の記事は書くのに骨が折れる。時系列を追ったり、写真をまとめたりがね。その点、雑記は楽に書けるので息抜きがてら書いてみる。
最近、結婚記念日を迎えた。せっかくなのでちょっといいディナーを食べようということになり、近所のフランス料理店に行った。そこの店主が非常に面白い方で、店にいるのは長くて2時間くらいかなと踏んでいたのが、なんと4時間にも及んでいた。4時間のうちの半分から3分の2は、店主との会話だ。店主から言われた主な言葉が以下の通りだ。
- 自分自身の分を知れ
- お互いを理解する努力はしろ
- 戦え
である。こう書いてみるとすごく好戦的な人物に見える。実際かなり好戦的な人物だったので、なにも間違っていない。
1.自分自身の分を知れ
最近、パートナーが仕事で悩んでいる(こちらの記事で書いた通り)。店主は10年以上フランス料理店を営んでいて、たくさんの人を見てきただけあってか、こちらから何も言わずともすぐに見抜いてきた。パートナーも私もぞっとした。
お前、今悩んでいることあるだろ?
自分自身の分を知れよ。今自分が持っているもの、できることで戦うんだよ。それ以上を求めるから苦しくなるんだよ。
そんなことをパートナーに言っていたように思う。でも、同時に私自身にも言われたような気がした。自分はもっと仕事ができるはず。もっと組織や会社に貢献できるはず。そんな思いが強すぎて、理想の自分像にずっと手を伸ばし続けていた。伸ばせる手の長さは決まっているのに、理想の自分像はどんどん遠くに位置づけられる。そりゃー永遠に手が届かないよね~と、今なら笑って片づけられる。休職まで追い込まれた今やっと、自分自身の分を知れたのかなと思う。
2.お互いを理解する努力はしろ
結婚記念日でお店に訪れたことを告げると、話題は夫婦の関係性へと自然に移り変わった。
夫婦と言えど、他人だから完全に理解することはできない。でも理解する努力を辞めたらそこで終わりだから。
自分自身でさえ、自分の分を知ること、自分自身を理解することは困難なのに、相手にそれを期待するのはばかげているかもしれない。他愛もないことで一緒に笑ったり泣いたり怒ったりの、日々続いていく緩やかな暮らしそのものが、お互いを理解する最高の手段だと私は思う。なお、この店主は奥さんにGPSを付けられているらしい。私はというと、先日パートナーの顔面にシャワーを当てて結構真剣に怒られた。ごめんね。
3.戦え
会社に文句があるなら、上司でも労働組合でも使って自分自身のために戦え。俺は戦うよ。
大切な人のためなら使える手段は全部使ってやると思うのに、なぜ自分自身のためには躍起になれないのだろう。なぜ自分自身を大切にできないのだろう。これも自分の分を知らないからかもしれない。自分はどこまでやれるか。どこからが嫌か。そんな自分との対話の時間が、会社員のような縛られた生活者にこそ必要なんじゃなかろうか。
最後に
店主は6末で店をたたみ、同じ屋号でキッチンカーを始めるらしい。自分の分を知った人はとことん自分のやりたいこと、楽しめることを始め出す。自分自身がどうありたいか、それに対して何ができるか、彼らは自分自身でよく知っているだろうから。自分自身をよく知る人は、本当にいきいきしている。
店主の力強いパワーを受けてか、私も今からでも自分を知っていこう、と思えた。一生忘れられない結婚記念日になったことを、店主に感謝したい。
もう1人の自分が、自分に対して「何なんw」とならないように。