選択的会社員

うつ、休職を経たアラサーOLが会社員生活の中で感じるひそやかな幸せ

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日記を書く、お天道様へ奉納する

 

はじめに

4月9日、日曜日。『第3回「日記祭」』の様子を見に、下北沢に足を運んだ。私の書いた日記や、日々拝読している方々の日記が『はてなブログの日記本』に掲載されるとのことで、ぜひ生の本を手に取ってみたいと思ったのだ。

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会場へ

会場である『BONUS TRACK』は、下北沢駅の南西口からまっすぐに伸びる遊歩道を歩いたところにあった。下北沢の線路跡地である『下北線路街』の一画だそうだ。線路街は様々な植物とお洒落なカフェで彩られており、犬をお散歩させている人も多かった。下北沢の雑踏と対極的なそのゆるやかな雰囲気は、小さな小さな街のようだった。心なしか、散歩している犬たちもご機嫌そうに見えた。

道中

気持ちのいい道中

広場とブックバスについつい立ち止まる

広場とブックバスについ立ち止まる

 

はてなブログの日記本』とご対面

会場の始まりすぐのところに、はてなブログのブースがあった。お目当ての本をそそくさと何食わぬ顔で受け取った後、日記祭の主催者である『日記屋 月日』さんのコーヒーを注文。屋外のテーブルに腰を落ち着け、コーヒーをひと口、ゆっくりと味わう。よし、覚悟ができた。受け取った本を恐る恐る、だけども仰々しく開く。すると、そこには確かに自分の記事が載っていた。自分で書いたものなのだけれど、こうして紙という媒体で読んでみると別物のように思え、なんとも言えない幸福感と違和感が同時に沸き起こった。不思議なものだ。読者として拝読している方々の日記も確認し、会ったこともないのに嬉しい気持ちになった。同じ本に載っていること、これもまた不思議。

会場は穏やかなお祭り

会場は穏やかなお祭り

噛み締める日記本

ごちそうさまでした

トークショー『どうしてオンライン上で日記を書くのか』の感想

長い間オンライン上で日記を書かれている、古賀及子さんphaさんトークショーを拝聴した。どうしてオンライン上で日記を書くのか、考えてみたこともなかったからだ。以下、個人的に刺さった内容と思ったことを整理する。こんなこと言っていたなーと思い出しながら書いているので、色々と正確ではないです。

トークショーの会場入口

トークショーの会場入口

お二人が目の前でゆるりと話してくれました

お二人が目の前でゆるりと話してくれました
刺さった点#1

動画みたいな媒体もある中で、今の若い世代があえて日記を『書く』のはどうしてなのか、逆に聞いてみたい。-古賀及子さん

お二人がオンライン上に日記を書き始めたのはインターネット黎明期。インターネットという面白い場所に参加するための手段として、一番身近な日記を選んだと仰っていた。今の時代、TikTokYoutubeのような動画媒体で日常を綴る『Vlog(Video Blog)』というジャンルもある。なぜ私たちは日記をあえて『書く』のだろうか。

一応デジタルネイティブ世代である私の、日記を『書く』理由。それは現代の情報の流れる速さ、刺激の強さに疲れてしまったからだ。TikTokを見れば、流行の音楽に合わせて踊る美男美女が。YouTubeInstagramを見れば、面白いコンテンツや購買意欲をそそるコンテンツが。Twitterを見れば、センセーショナルな話題が。これらは動画や画像、音などの具体的な情報によって鮮明に伝達され、瞬く間に私の脳で処理される。そして巨大な波のような速度と強度で、続々と押し寄せてくる。なんだか、波が押してくるばかりで全然引いていかないような気持ちなのだ。日常で触れるものは、ちゃんと引いてくれる穏やかな波がいい。自分や他人の、取りこぼしてしまいそうな日常くらいの。それが、私の『どうしてオンライン上で日記を書くのか』の答えである。皆さんはどうでしょうか。

道中のよかった看板#1

道中のよかった看板#1
刺さった点#2

人は大体、人生のハイライトの時期に日記を始めるのよ。私は子育て、phaさんはシェアハウス。今は子育てを卒業して、ただの40代になったわけ。だから、どんどんキャラが薄くなる恐怖はある。-古賀及子さん

でも、ただの40代の日記でも面白いんですよね。その人の暮らしだから。今はAIがどんどん便利なこと、役に立つことを人間に取って代わってやっているけど、暮らしは人間にしかできないから。みんなに書いてほしいもん、日記。-phaさん

確かに!と思った。私の場合は休職したことが皮肉にも人生のハイライトとなって、この日記を始めた。そして心の片隅で、復職したらどうすっかねーとも思っている。でも、私の暮らしは私にしかできない。AIでも真似できない暮らしだ。そう思うと、別にハイライトがなくたってやったっていいじゃんね、日記。だってその人の生き方そのものだから、なんて。

道中のよかった看板#2

道中のよかった看板#2
刺さった点#3

私の日記を読んでくれた人に、「古賀さんの日記って、お天道様への奉納っぽいよね」って言われたことがあるの。そう言われて、まさにそんな気持ちで書いているなと思った。「今日も色々あったけど、私は元気ですので。お天道様、安心してください!」って感じ。-古賀及子さん

僕は、よかったことより駄目だったことを書く。人に愛されたいから。-phaさん

両方解る。私の場合は基本的にはお天道様への奉納で、たまに愛されたくなっちゃうスタイルかもしれない。しかし、お天道様への奉納かぁ。思いもよらなかったけど、いい得て妙だ。いいことも駄目なことも全部文字に起こして、インターネットにえいやと放り投げると、なんとなく浄化されたような気になるのだ。それはきっと、こんなんでも私は生きていますよ、というお天道様への奉納だ。

道中のよかった看板#3

道中のよかった看板#3

 

終わりに

休職中の暇つぶしにと始めたはてなブログで、こんな楽しいお祭りに参加できるなんて思いもよらなかった。改めて、運営者の皆様や参加者の皆様に感謝いたします。こうして、またあてもない日記をインターネット上に放流する。お天道様への祈りを込めて。