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うつ、休職を経たアラサーOLが会社員生活の中で感じるひそやかな幸せ

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精神科医が強そうで安心する

以前お世話になった精神科医がめちゃくちゃ強そう。ここでの強そうとは、「体が筋肉質で屈強、かつ身だしなみがオラオラしている」という意味である。私のまだ短い人生の中ではあるが、間違いなく今までに出会った人の中で一番強そう。初めて診てもらった日は、自分のことで精いっぱいで先生の顔すら見れなかった。なんかこの人、強いよね?と思い始めたのは、先生の顔や体を見れるようになった日のことである。

先生の顔や体を見ると、私の古典的な「医者」というステレオタイプから外れるいくつかの違和感に気づいた。まず、先生が座っているはずの椅子が見えない。背もたれはもちろん、ひじ掛けも見えない。先生の筋肉に覆われた大きな体に隠されて見えないのだと気付いた。次に、先生は結構いかつめのアクセサリーを付けている。首と手首に、ゴールドのチェーンが見え隠れするのだ。私はブランド物に疎いので詳細はよく分からないが、ファストファッションのお店では買えないような質であることは一目で分かった。多分○○金みたいなやつだと思う。最後に、先生は金髪である。最初の内は黒髪だったような気がするが、ある日金髪になっていた。しかもすべて金!ではなく、毛先だけに金が入ったようなおしゃれな金髪である。

そんな人が、精神科のドアの向こうで机に腕を乗せ、前方で指を組んでどっしりと待っている。そして、挨拶のように「今週は、どうでしたか。」と聞いてくれる。強そうな外見の人が穏やかな口調で話しかけてくれるので、脳が混乱する。

それでも、そんな強そうな先生が毎週いつも同じ場所で迎えてくれる、というのはかなり安心感があった。職場で何か嫌なことがあったときはこの先生を召喚し、物理的なパワーで捻じ伏せてもらったらいいか、と妄想するのが日課になりつつある。今は訳あってこの先生のもとには行っていないが、私の妄想の中でしばらく活躍してくれそうだ。先生、これからもよろしくお願いしますね。