選択的会社員

うつ、休職を経たアラサーOLが会社員生活の中で感じるひそやかな幸せ

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回り道と童心

スーパーのはしご

お風呂掃除用のスポンジのスペア。そんなとても微妙な買い物をしに、外に出た。

まずは駅前の薬局に行く。普通のスポンジはあるが、我が家で使っている「激落ちくん」のものはなかった。あると思っていたので少々拍子抜けしたが、気を取り直して薬局のすぐ近くのスーパーに向かう。そのスーパーは少しの掃除用品なら売っているので、もしかすると…という期待を込めて行った。なかった。

もう通販にしようかと思ったが、たかだかスポンジのために包装してもらったり、届けてもらったりが非常に申し訳ない。なので、徒歩20分ほどの大型ディスカウントストアに向かうことにした。

子どもたち

遠いな〜やだな〜と思っていると、後ろからドッドッドッドッ、とサイのような大きな動物が向かってくる音がした。振り返ろうとしたそのとき、小学生の男の子二人が私の脇をするりと走り抜けていった。荷物のたくさん入ったランドセルが揺れるとき、確かにこんな重厚感のある音がした。覚えている。この音を聞いたのはかなり久しぶりだったが、自分がランドセルを揺らしていた記憶がすぐに思い出された。不思議なものだ。男の子のうち一人は、私が目指すディスカウントストアの手前まで一緒だった。

帰り道に通った公園は、いつもより賑わっていた。小さな子から、中高生くらいの大きな子まで。ただ走り回っている子もいれば、バスケットボールをしている子もいる。甲高い叫び声、声変わりをした子の掛け声、ボールの弾む音、親御さんの話し声...。色んな音がする。都会の喧騒は苦手だが、この公園の賑やかさは好きだと思った。ふと空を見ると、腹が白く背が黒い大きな鳥がゆっくり飛んでいた。

 

面倒な買い物はいつしか、目の前にある風景を愛でる楽しい散歩になっていた。私の脇を走り抜けていったあの男の子が、私にただ目の前のことに夢中になるこどもの心を思い出させてくれたのかもしれない、と思った。男の子よ、ありがとう。