選択的会社員

うつ、休職を経たアラサーOLが会社員生活の中で感じるひそやかな幸せ

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電車と人々

駅のホームで電車を待つ。電車では、普段の生活の中で関わることのない人と同じ空間を共有するから、気になる人をつい観察してしまう。

例えば、ホームの黄色い点字ブロックに対して直角に仁王立ちしているおじさま。何をしているのだろう。大きく開いた足の間には黒い線が見える。マイクスタンドか何かと見間違える。銃爪を歌う世良公則さんか、昔のアジエンスのCMの美女か、とにかくアルファベットのAなみに足を開いていた。(世良公則さんは私の世代のスターではないが、世代を超越する圧倒的なカリスマ性を放つかっこいい歌手だ。)
ほどなくして電車がやってきた。おじさまの体制が変わる。あっ、撮り鉄だったんですね。マイクスタンドと見間違えたものは三脚らしかった。いい写真は撮れたのだろうか。

やってきた電車に乗る。座って一息つくと、向かいの座席には気持ちよさそうに眠る若い女性二人組。二人はそれぞれ逆の方向に、天を仰いで寝ていた。二人とも同じような角度でいるものだから、今度はアルファベットのYに見えた。夜通し楽しくて楽しくて、朝帰りの熟睡かな、なんて勝手に想像する。
電車を降りるころには、二人組のうち左の女性の体制が変わって、Yでなくなった。でもやっぱり二人とも同じ角度なので、今度は綺麗なスラッシュスラッシュになった。寝てる姿しか見てないけど、この二人はきっと気が合うのではないかしら。

彼女らが終点の駅で車掌さんに起こされて、ここまで来ちゃったの!?とあんぐりする様子を頭に浮かべながら、電車を降りた。でも、そんなこともあの二人はきっと楽しめちゃうはず。