選択的会社員

うつ、休職を経たアラサーOLが会社員生活の中で感じるひそやかな幸せ

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愛嬌

友人とあてもないウインドウショッピング。特に目的もないのに商業施設を一緒にうろうろできる友人は、私にとって気を許せる貴重な存在だ。

あるお店で、総レースのトップスが目に止まった。質感はしっかり目なんだけれど、程よい透け感とふわっと広がる袖口で、質感よりも軽く見える。軽く羽織るもよし、下にタンクトップを着て一枚で着るのもよしだなぁなどとぼんやり妄想していると、これ可愛いですよね~!という勢いのある声が妄想をかき消した。

金髪の髪をポニーテールにした、ボーイッシュなお姉さん。総レースのトップスをお探しでしたら、こんなのもこんなのもありますよ!とものすごい速さで異なるデザインのものを集結させてきた。こやつ、ただの店員ではなさそうだと直感。友人に助けを求めようと思ったら、友人はいつの間にか遠くの方に避難していた。どうしようもなく急に押し寄せてきた情報の波に圧倒されていると、お姉さんはさらなる追撃、しかし予想外の追撃をかけてきた。このお洋服であれば綺麗目にも着れるので、あのー、なんていうんでしたっけ、おふぃ…おふぃしゃるかじゅある?にも着れます!!

お姉さんの言いたいことは、少し間が空いたあとに分かった。分かった瞬間顔がほころんでしまったし、勢いがありすぎてもうそれでいいよね、という気持ちになった。これが愛嬌というやつなのかもしれない。だから、普段はどんなお洋服を着るんですか?というお姉さんの問いにはこう答えた。会社にも着ていけるような、まさにオフィシャルカジュアルです、と。

近頃は復職訓練や転職活動、うっかり見てしまったショッキングなコンテンツのせいで気分が沈んでいた。そんな重苦しい日々から、お姉さんの些細な愛嬌が私をひょいとすくい上げてくれたのであった。お姉さんは無自覚だろうが、これからも勢いを大事にしてほしいと思うばかりだ。ありがとうね。